クマふと通信2025年6月号
Kumaft Tsushin
今年も“猛暑”の可能性 本格的な暑さを迎える前に『暑熱順化』で熱中症対策を

一般財団法人 日本気象協会が推進する「熱中症ゼロへ」プロジェクトでは、本格的な暑さを迎える前に事前に身体を暑さに慣れさせる事『暑熱順化(しょねつじゅんか)』の大切さをアピールしています。労働現場(職場)における熱中症による労働災害も増加していることから、折しも2025年6月1日から労働安全衛生規則が改正され熱中症対策の強化が義務付けられる事もあり、本格的な暑さを迎えるこの季節に暑さに身体を順応させる「暑熱順化」に注目が集まっています。
5月下旬から梅雨明け前に取り組みましょう

暑熱順化とは身体を徐々に暑さに慣らす事で夏の高温環境に適応出来るようにするための重要な生理的プロセスです。人間は汗をかいて気化させることで体温を冷やしますが、そのためには自律神経がきちんとコントロールできる事と汗をかく事に慣れている事が必要になります。暑熱順化を効果的に行うためには個人差もありますが少なくとも2週間程度の継続的な取り組みが必要とされています。
最近では、暑さが原因で体へ熱が溜まったことによる体調不良を熱あたりと呼ぶ事もあり、身体自体の暑さ対策の必要性が改めて叫ばれています。酷暑の中で急激に暑さにさらされるのではなく、今の時期から意識してライフスタイルを整えておく事が熱中症をはじめとする夏の不調の予防に繋がるのです。
自律神経を整えて体温調節をしやすくする栄養を摂りましょう

食事と栄養の面でも、暑さに対応出来る身体づくりが重要になります。
体温調節には自律神経や肝臓、筋肉の機能が正常であることが重要です。これをサポートして疲労回復を図るのはイカ、タコ、アサリ、その他の魚介類に豊富に含まれるタウリンです。エネルギー代謝や疲労軽減に欠かせないのは豚肉や豆類などに含まれるビタミンB群。抗酸化作用があるのはキウイなどのフルーツに含まれるビタミンCです。そして疲労物質の代謝を助けるのは梅干しや酢に含まれるクエン酸です。こららの栄養素をバランス良く摂取することが推奨されます。
また、発汗と共に失われやすいナトリウムやカリウム、マグネシウムといった電解質も不足しやすい成分です。お味噌汁や果物などでしっかり補うようにしましょう。
また、熱中症シーズンに向けて水分の貯蔵臓器である筋肉を増やし、膠質浸透圧を低下させない事も重要です。膠質浸透圧とは血管内の水分を維持し、体液のバランスを保つ上で重要な生理的圧力の事です。これを低下させないため主構成要素であるアルブミンの原料となるたんぱく質(肉や魚、大豆などに豊富に含まれます)もこまめに摂る習慣をつけておきましょう。
さらに水分補給も非常に大切です。日常的にこまめに水分を補う習慣をつけましょう。1日あたり1.2〜1.5リットルを目安に1日に8回程度に分けて水分補給する習慣をつけるようにしましょう。なお、冷たい飲食物の摂りすぎは胃腸の働きを低下させて暑熱順化を妨げる原因となるため注意が必要です。
軽い運動を習慣にしましょう

ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの軽い運動を、1日15分から30分程度、週に5日ほど行うことも暑熱順化に効果的です。やや汗ばむ程度の負荷で暑くなる前の時期であれば午前10時から午後3時の比較的気温が高い時間帯に実施することで発汗機能や血液循環が促され、順化効果が高まります。運動でなくても庭仕事をしたり徒歩通勤をするなど日常生活の中で屋外での活動を増やすのも良いでしょう。
栄養と運動で筋肉量と機能を保ち自律神経を活発化させることで汗腺の働きが活性化され効率的に熱を放出できる身体になります。
入浴で汗腺機能を活性化させましょう
暑熱順化には入浴も非常に有効です。38〜40℃のぬるめのお湯に10〜20分間、半身浴を行うことで無理なく発汗が促され、汗腺の機能が整えられます。シャワーだけで済ませずに出来る限り毎日湯船に浸かるのが理想です。湯舟に浸かるのが難しい場合は、背中の肩甲骨まわりや腰の仙骨部など、血流が豊富で自律神経に関与する部位にシャワーを当てると、体を効果的に温めることが出来ると言われます。
良質な睡眠を十分取りましょう
就寝前1~2時間前に入浴するとちょうど就寝時に深部体温が下がり、睡眠の質が高まることが期待出来ます。十分な睡眠と生活環境の調整も自律神経を整える上で欠かせません。睡眠不足や慢性的なストレスは自律神経のバランスを乱し、体温調節機能を低下させてしまいます。夏の暑さに耐えられる身体づくりのためには、少なくとも2週間程度以上のプロセスが必要です。
栄養・運動・入浴・睡眠を意識して自律神経を整えて無理なく継続することが何よりも重要です。今から出来ることを積み重ねて夏本番に向けて備えましょう。
熱中症に特に注意が必要な時期とは

熱中症のリスクが高くなるのは太陽が照りつける猛暑日だけとは限りません。どのような時に注意が必要かご紹介します。
5月の暑い日
5月でも最高気温が25℃以上の夏日や、30℃以上に達する真夏日となることがあります。身体がまだ暑さに慣れていないこのような時期は注意が必要です。
梅雨の晴れ間
梅雨に入り雨が降る日が続くと気温が下がり、それまでに暑熱順化していても元に戻ってしまうことがあります。梅雨の晴れ間で急激に気温が高くなる日はご注意ください。
梅雨開け
梅雨明け後は晴れて気温が高い日が続く事が多く熱中症による救急搬送者数が急増します。
お盆開け
休みの間に暑熱順化が戻ってしまう場合があります。帰省や移動などで疲れている場合にも熱中症のリスクが高まります。
無理のないペースで!

暑熱順化にはどうしても個人差があります。決して無理をせずに自分のペースを守って取り組む事が重要です。身体が暑さに慣れたと言っても猛暑日にエアコンなしで生活するのは無謀です。室内でもしっかりと熱中症対策を心掛けましょう。汗腺機能を活性化させるためにリラックスした体勢で入浴出来る浴槽や高性能シャワーを備えたバスルームへのリフォームや、真夏の暑さを軽減させる窓リフォーム、節電省エネエアコンの設置など、クラフトホームでは様々なリフォーム提案をご用意してございます。気になることがございましたら、何なりとお気軽にご相談下さいませ。
